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ワクワクする体験を通して心を育む『フクロウラボ』

書き手 石田 なおこ

北浦和駅東口から歩いて10分ほどの住宅街。扉を開くと動物の剥製や化石など、子どもたちの好奇心をくすぐるアイテムが至る所に並ぶ理科教室、『フクロウラボ』があります。
多彩な実験を通して、子どもたちがのびのびと学びの世界を拡げていける教室は、子どもだけでなく多くの親御さんから「子どもたちがイキイキとしている習い事 No.1」と好評です。

教室を主宰するのは、子どもたちから「れいちゃん」と呼ばれる荒木麗夏(あらきれいか)さん。記事内でも親しみと敬意を込めて、「れいちゃん」と表記します。
二児の母である筆者として、大人気の教室の秘密を知りたくてれいちゃんにお話を伺いました。

ワクワクしてくる理科教室

自宅のガレージを改装して作った理科教室には、ビーカーや顕微鏡といった学校の理科室でおなじみのアイテムはもちろんのこと、動物の剥製や化石など子ども達の好奇心をくすぐるアイテムが教室の至る所に並んでいます。

目線を足元に向けてみると、なんとコリンキーを丸ごと一個食べる亀が。
豪快にコリンキーにかぶりつく姿は野生そのもの。

他にも鷹やニワトリ、シーズー、うなぎ、カナヘビやメダカなど、様々な生き物が触れ合うことができるフクロウラボ。
北浦和の住宅街でありながら、自然豊かな山奥にタイムスリップしたような感覚を味わえて、子供のみならず大人である筆者も大興奮してしまいました。

教室の中を自由に散歩している亀は、子どもたちの人気者。
餌としてコリンキーを丸ごと一個あげるのは、顎を鍛えるため
たまごから孵ったアオダイショウのアルビノ

人体模型は子どもたちがいつも戯れているので、顎がずれていたり、麦わら帽子をかぶっていたり…と親しみを感じる温かな存在として教室の一員になっています。

ヒンヤリとしていて、何となく一人では近づきづらい特別な教室。
学校の理科室について、そんな印象を持っていた私ですがフクロウラボは、ワクワク​するもので溢れた楽しい空間となっています。

人体模型はみんなの人気者

子どもたちの好奇心と可能性は無限大

フクロウラボの授業は、まず10〜20分ほどのフリータイムから始まります。自分の好きなものに触れて思い思いの時間を過ごす子ども達。
磁石、砂時計、人体模型、ビスマス(希少金属の一種)などが特に人気です。物理、科学、生物、地学など多岐に渡る理科の分野。フリータイムは、子どもたちが自分の力で様々な分野に興味関心を広げる大切な時間になります。 

それぞれの興味関心がどこにあるのかを、一人一人の行動から知ることができるので、れいちゃんにとっても大切な時間となっているそう。

熊やハクビシンの骨に興味津々の子どもたち

フリータイムが終わるといよいよ実験です。

フクロウラボでは座学の時間はほどほどに、実験用具に触れる時間を多く取ることを大切にしています。「とにかく理科の世界を体験して、理科の楽しさを心で感じて欲しい」とれいちゃん。

誰もが実験用具に触れられるように、クラスの人数は最大でも6人程度。
控えめな子でも、安心して実験に取り組める。誰もが持っている「やってみたい」という好奇心を、取りこぼすことのない環境がここにはあります。

そして、実験中に大切にしていることが「教えすぎない」こと。
基本的に子どもたちを見守り、困っている時にも伝えるのは答えではなくヒントだけ。
子どもたちの力を信じ、無限大の可能性を引き出そうとするれいちゃんの温かな想いが伝わってきます。

子どもを通わせている保護者の一人は「普段、親はついつい​口を出してしまいがち。そんな目から離れて学べるこの教室は本当に楽しそうで、大人である私も学びたいくらい」と話してくれました。

理科を楽しく学びながら、地球環境について考えるきっかけに

れいちゃんがフクロウラボの授業を通して伝えたいことは、理科の楽しさだけではありません。

幼少期を豊かな森がある沖縄の首里で過ごしたれいちゃん。
理科が好きになった原点は、その環境のなかで弟さんと一緒に遊びつくした日々にあるとのこと。
その沖縄の豊かな自然も、時代の流れに逆らうことはできず失われつつある昨今。

そこでたくさんの学びを得てきたからこそ、自然が失われていくことへの危機感を感じているそう。子どもたちにはフクロウラボでの学びを通して、環境について考える心も育んで欲しいと考えているのです。

オムツを手にして大喜びの子どもたち

取材に訪れた日に行われた実験は、オムツを使っての芳香剤作り。

主役はオムツに入っている吸水ポリマー。もちろん難しい用語の説明はありません。子どもたちは大喜びのまま、あの手この手で格闘して、楽しそうに取り出していました。

実はこの吸水ポリマーは、砂漠の緑地化を進めるうえで注目されている素材なのです。
身近にあるものが、地球の緑を取り戻すことに役立つ。
難しい問題と向き合っているはずなのに、何だかワクワクしてきます。

「楽しく遊んでいる感覚のなかで、いつの間にか大切なことを吸収していく。そんな学びであって欲しい」と話すれいちゃん。
楽しく学んでいたら、結果的に私たちにとって大切な課題である地球環境について考え始めるきっかけに。それがフクロウラボが授業を通して伝えたい、もう一つのことです。

普段は体験できないような実験に目を輝かせる子どもたち
理科の魅力を語るれいちゃん

フクロウラボが教えてくれること

二児の母親という立場から、れいちゃんに子どもの成長において大切にしていることは何かと質問してみると「たくさんの体験をすること」という答えが返ってきました。

子どものころの体験が、今も忘れられない思い出として、心のなかに残っている人も多いのではないでしょうか。
「何かに夢中になったり、熱中した体験のなかで、子どもたちは自分らしさに気がついたり自信を持っていく。それが、何か困難にぶつかった時に自分を支える力になってくれるはず」とれいちゃん。

火山の噴火モデルを作って噴火が起こる様子を再現したり、ホタテ貝を解剖して最後にはバター醤油で美味しく頂いたり……

フクロウラボで子どもの好奇心をくすぐる多彩な実験を行うのは、れいちゃんのそんな想いが込められているから。
実験中の子どもたちの笑顔からも、たくさんの心が動くような体験をすることの大切さを実感。

そして心から楽しむことは、自分たちの力で学びの世界を広げる大きな力になるのではないかと感じました。
子どもたちの無限の可能性を最大限に引き出すフクロウラボ。
知識をつけるだけではない、心を育む学びがここにはあります。

「フクロウラボ」の名前の由来にもなったふくろうのレムちゃん。
昨秋突然亡くなってしまったが、今もお空から「フクロウラボ」の未来を見守ってくれている

フクロウラボ

アクセス:さいたま市浦和区領家1-15-6
お問い合わせ:048-705-7756
Instagram:@reikikaku_nature

書き手
石田 なおこ

子どもの目線でものをみたり、その歩幅にあわせて歩いたり。そんな時間の中で、大人になって忘れていた世界に出会うことができました。日々の暮らしの中に大切なものが詰まっている。そんな気づきを見つけていけたらと思っています。浦和区在住。2児の母。

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