「コラボ」と聞いて、皆さんはどのような気持ちになりますか?
北浦和駅東口から歩いて6分ほど、北浦和図書館の裏手に地元の人たちから愛される『焼き立てパンのお店 エトアール』はあります。エトアールでは、お店の周年イベントや地域で行われるイベントの際にコラボパンを作ってきました。
北浦和にある『タイキッチン・ウアムファン』の人気メニューであるグリーンカレーを使用した「グリーンカレーパン」や、同じく北浦和にある珈琲豆専門店『コンコード』の自家焙煎コーヒー豆を使用した「コーヒーシュトーレン」。
前者はカレーの良さを活かすこと、後者はコーヒー豆の存在感を際立たせることを大切にされたそう。
これまでにコラボしてきたお店の数は、なんと20店舗以上。
他のお店と「コラボ」することによって、普段は味わえない特別なパンを作りだし、今度はどんなパンに出会わせてくれるのだろうと、私たちをわくわくした気持ちにしてくれています。
そんな楽しい試みをしているエトアールの特徴といえば、色々な種類のドイツパンを扱っていること。
店主の西岡東輝(にしおかとうき)さんは、初めての修行先でパン屋になるために奮闘していた頃、ドイツパンに出会いその美味しさに魅了されました。
他にはない自分らしいパン屋を作りたいと模索していた西岡さんは、2つ目の修行先としてドイツパン専門店の門をたたき、マイスターのもとで経験を積むことに。
世界でパンの種類が一番多いとされるドイツ。
大型パンに小型パン、地域特有のパンを含めると、なんと3000種類にものぼるともいわれています。
その中でも世界的に親しまれているのが「ライ麦パン」と「プレッツェル」。
名前を聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。
エトアールではそれぞれのパンの種類の多さが目を惹きます。
ライ麦と小麦の配合によって味わいや食感が違ってくるライ麦パン。
エトアールではライ麦粉の配合量(20〜100%)を日替わりで変えているので、
日によって様々な味わいのライ麦パンを楽しむことが出来ます。
腕を交差させているようなハートの形が愛らしいプレッツェル。
表面はカリっ、内側はもっちりとした食感の生地が一般的ですが、エトアールではクロワッサンのようなサクサクとした食感の生地のものを始めとして色々な種類のプレッツェルを楽しむことができるんです。
修行先のマイスターの教えをベースにしながら西岡さんなりの工夫を加え、生み出されるオリジナリティ溢れるドイツパンの数々。ぜひ、ここにしかない美味しさを味わいに来てみてください。
店内には他にも彩り豊かな惣菜パン、玄米や米粉入りなどさまざまな素材を混ぜ込んで焼き上げた食パン、子どもだけでなく大人にも人気のメロンパンなど、西岡さんが丹精込めて作ったパンが並びます。
パンのトレーの前には奥さまが手書きした可愛いデザインの描かれたポップがついていて、パン一つ一つへの愛情が伝わってきて温かい気持ちに。
ドイツパンを中心にバラエティ豊かなパンを扱うエトワールが、コラボパンを作るきっかけになったのは10年ほど前に、地域を盛り上げようと仲間で集まり活動していたことにさかのぼります。
こだわりを持ったお店が集いスタートしたグループに、与野から地元である北浦和へ店舗を移したばかりだったエトアールも加わりました。
そこで出会った仲間たちとの縁が、コラボパンを作るきっかけになったといいます。
今までにコラボしたお店は、前述のタイキッチン・ウアンファン(カレーパン)や珈琲豆専門店のコンコード(珈琲パン)さらにはcafe flat(アップルパイ)などを中心に20店舗以上に。
「コラボ相手が提供してくれる素材がすでにとても美味しいので、その良さや特徴をより引き立たせること」とコラボパンを作る上で大切にしていることについて教えてくれた西岡さん。
「地域や仲間を大切にする想い」と「仲間が作るものへの信頼」
コラボパンはその二つの気持ちが西岡さんの中でコラボした結果生まれているようです。
地域を大切にしているエトアールでは、地元の子どもたちの学びの場として、小学生が自分の住むまちを探検する『まち探検』や、中学生が職業体験をする『未来くるワーク』などにも協力しています。
子どもたちが一生懸命に学び、どんどん吸収していく姿を目の当たりにすると「もっとがんばらなくちゃと感じます」と目を細める西岡さん。
午後になると幼稚園帰りや学童帰りの子どもたちが、お父さんやお母さんと一緒に楽しそうにパンを選ぶ姿が。
店内のレジ近くには折り紙が得意な娘さん手作りのおもちゃがあり、小さなお客さんへの優しさも伝わってきます。
ご家族連れだけでなく、広い世代から愛されるエトアール。
15年以上お気に入りのパンを買うために、週3日通い続けてくれたお爺さまがいらしたそうです。
遠くまでは足を運べないけど、近所だからと通い続けてくれている90歳目前のお客様たちも。
地域を愛し、地域に愛されているエトアール。
その歴史は長く曾祖父の代から続き、西岡さんで四代目になるとのこと。
お菓子の小売やケーキ屋などお店の形態や場所は変化しながら、現在は店主の西岡さんが焼くパン、そして奥さまが作るサンドウィッチと焼菓子のお店となっています。
エトアールの歴史の中で、代々大切に引き継がれていることは、とお聞きしたところユーモアあふれる西岡さんらしく「明るさと面白さ」かなと話してくれました。
鮮やかなオレンジ色の看板が目をひくエトアールの店内に一歩足を踏み入れると、なぜか雨の日でも心が明るくなるんです。この「明るさ」こそ、エトアールに代々息づいているものなのかも知れません。
コンビニやスーパーなどでいつでもパンが購入できる時代に、わざわざパン屋へ足を運んでもらうためには「どんどん新しいことに挑戦していかないと!」と今後への想いを力強く話してくれました。
西岡さんの挑戦は生まれ育った北浦和の街で続いていきます。
「明るさとユーモア」とともに。
毎週火曜日には、お店の駐車場にパンでもコラボもしている「cafe flat」がやってきます。
笑顔の素敵な店主はるさんが淹れて下さるコーヒーは香り高くて心地よい後味。
季節ごとに限定ドリンクも用意されていて、これがまた格別なんです。
エトアールの焼き立てパンとcafe flatのフレッシュなドリンクで、素敵な一日を過ごしてみてはいかがですか?